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YCAM Re-Marks

glitchGROUND―メディアアートセンターから提案する、新しい学び場環境

YCAMの教育普及活動のこれまでとこれから
新たな学び場としての〈メディア環境〉を提案する

開館以来、オリジナルワークショップをはじめとする多様な教育普及プログラムを展開してきたYCAMの教育普及活動を俯瞰する展覧会。教育普及活動のコンセプトを体現した公園型のインスタレーションのほか、過去のプログラムを体系的に紹介するパネル展示、現在開発中のワークショップから派生したインスタレーションを発表した。
「メディア」が、光や大地や空気と同じように当然のこととして人々の生活を包み込んでいる今日の社会。「前提を見つめ直す」という意図から名付けられた本展の展示作品を通じて、ミュージアムエデュケーションやメディア教育の新たなビジョンを示すとともに、世界をたくましく生き抜く知恵と創造性を自発的に獲得する場という、公共施設の未来像を提起した。
日時
2012年5月19日〜8月12日
会場
スタジオB、ホワイエ、2階ギャラリー
特設サイト
http://glitchground.ycam.jp
ポスター、フライヤーなど

作品

YCAMエデュケーションアーカイブス

YCAMの教育普及活動のこれまで

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YCAMエデュケーションアーカイブス

YCAMの教育普及活動のこれまで

YCAMがこれまでに展開してきた様々な教育普及プログラムを紹介するパネル+映像展示。
市民参加型長期プログラム「meet the artist」、特別上映会「映画を2回観る会」、ギャラリーツアーやバックステージツアーといった過去に実施した教育普及プログラムを、参加の度合い、得られる体験の濃度などから「作品を言語化する」「作品を知る」「創造的な活動に参加する」といったカテゴリに分類し、映像も交えながら体系的に紹介する。

コトバ身体インスタレーション

言葉を介して身体とメディアを往来する

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コトバ身体インスタレーション

言葉を介して身体とメディアを往来する

開発中のオリジナルワークショップ「コトバ身体」をベースとしたインスタレーション。
鑑賞者が作品空間内に設置されているモニターの前で自由に身体を動かすと、その動きがコンピューターに取り込まれていく。その動きと任意の「コトバ」を関連づけ、その「コトバ」を手がかりに他の動きに触れることで、身体を動かしたときには考えてもいなかった新たな意味を発見できる。

コロガル公園

これからの学び場/遊び場のビジョンを提示する

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コロガル公園

これからの学び場/遊び場のビジョンを提示する

不定形な床面で構成された公園型のインスタレーション。
公園の床面の内部や周囲には映像や照明、音響、ネットワークなどのメディアテクノロジーを駆使した仕掛けが多数埋め込まれており、それらは利用者に対して多様な可能性を提供するとともに、公園総体がひとつの「環境」として、利用者の創造性を刺激し、新しい「遊び」を誘発する。

不定形な床
「斜めの機能、それは、人間を触発し覚醒させる抵抗の建築だ。人間をまどろませ、精神を死に追いやる生ぬるい快適さとは対極にあるものだ。」(「斜めにのびる建築」クロード・パラン著/戸田譲訳/青土社)
コロガル公園では、創造的な発想に基づく遊びを生み出すために、これまで「立つため」「歩くため」の支持体としての意味しか与えられてこなかった「床」という概念を、重要な装置として着目。スケートボードのランプをサンプリングし、コラージュしたような、曲面と斜面のみで構成された複雑かつ広大な床面が作り上げられている。さらに、ここにスピーカーやマイク、照明などのメディアテクノロジーを駆使した仕掛けを埋め込むことにより、「滑る」「転がる」「隠れる」といった原初的な身体運動のほかに、仕掛けを通じて「ここではない音を聞く」「遠くの誰かに語りかける」「空間全体の色彩を変える」といったメディアを介したコミュニケーション活動も誘発させる。
これにより、公園全体を物理的/身体的なレイヤーが複合したひとつの新しいメディアとして立ち上げ、来場者が思い思いの目的を能動的に見い出すことができる環境を実現した。
また、床面の素材を比較的手に入りやすい木材とすることで、破損箇所が発生し次第、展示の監視にあたるスタッフが直ちに修繕できるようになっており、外見を変えること無く断片的に更新されていく。

スピーカーと振動子
公園の床面には、スピーカーが4×4のグリッド状に計16個内蔵されており、独自に開発したソフトウェアで個別に制御可能になっている。スピーカーからは、予め構成された6種類のシーンにのっとって、サイン波やノイズなどの人工音のほか、鳥の鳴き声や滝の音、市場の音などをサンプリングした音が、音像の位置や音量などを変えながら再生され、公園の雰囲気に絶えず変化を与えている。
また、それぞれのスピーカーのそばには、床面を微細に震わせる振動子(バイブレーター)も取り付けられており、スピーカーから発せられる音と連動しながら、来場者を触覚の面からも刺激する。

マイク
公園の床面にはマイクが3箇所に内蔵されており、来場者が出すさまざまな音を録音して、さまざまな位置のスピーカーから再生している。また、このマイクに向けて、一定のルールでノックをすると、先述のソフトウェアにコマンドが入力され、シーンが再生されるという機能も搭載されている。

照明
天井には20個のフルカラーLED照明、N個のハロゲンライト、1個の巨大なバルーンライトが設置されており、先述の「シーン」に連動するかたちで色彩や点滅などが制御されている。

機能のアップデート
会場では「子どもアイディアスケッチ」と呼ばれる用紙が配布されており、そこに利用者それぞれの「理想の公園」を文章/イラスト問わず自由に記入してもらい、会場の出口に設置された「子どもアイディアポスト」に投函してもらう。こうして集められた公園を巡るさまざまなアイディアは、「コロガル公園」に新たな機能を追加するためのイベント「子どもあそびばミーティング」での議論の原案として参照される。

イベント

YCAM WORKSHOPS

2012年4月28日~30日、5月3日

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YCAM WORKSHOPS

展覧会の開催に先立ち、YCAMが過去に開発した、あるいは現在開発中のオリジナルワークショップ計8点を開催した。
各ワークショップには全国のミュージアムエデュケーターや教育研究者をレポーターとして招聘し、終了後にはワークショップの開発と実施を担当するYCAM教育普及スタッフに対して、各ワークショップの背景やコンセプトについてのインタビューを実施。その模様は「YCAMエデュケーションアーカイブス」の一部として展示した。

実施したオリジナルワークショップ

日時
2012年4月28日~30日、5月3日
会場
スタジオA、ホワイエ
クレジット
ファシリテーター:YCAM教育普及スタッフ
レポーター:井島真知森秀樹池内一誠佐藤優香

シンポジウム「ワークショップはどうやって創られるのか?」

2012年5月4日

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シンポジウム「ワークショップはどうやって創られるのか?」

「YCAM WORKSHOPS」の締めくくりとして、博物館でのワークショップや体験学習コーナーの設計や運営の経験が豊富な佐藤優香と池内一誠を招いて、ワークショップの設計方法についてのシンポジウムを開催した。
美術館や博物館で実施されるワークショップの裏には、どのような背景があり、どのように創られているのか。ゲストの2人が携わってきたさまざまなワークショップや体験学習コーナーの事例を紹介しながら、それぞれの現場における課題や、その解決方法について語り合った。
日時
2012年5月4日
会場
ホワイエ
クレジット
講師:佐藤優香池内一誠+YCAM教育普及スタッフ

オープニングレクチャー&デモンストレーション「これからのメディア教育環境」

2012年5月19日

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オープニングレクチャー&デモンストレーション「これからのメディア教育環境」

展覧会のオープニングを記念して、企業など多くの組織に体験型学習を提案している「ラーニング・アーティスト」の上田信行を招いて、ワークショップ形式のレクチャーを開催した。
参加者は数名ずつのチームに分かれ、参加者全員で歌ったり、踊ったりしながら、所定の時間内に与えられたブロックをどれだけ高く積み上げることができるか、というゲームを実施。演劇や音楽ライブ、パーティーといった「人が楽しめる空間」に着目し、そのエッセンスをワークショップの設計に応用する上田の方法論を、パフォーマンス的なアプローチで提示した。
日時
2012年5月19日
会場
スタジオB
クレジット
講師:上田信行

子どもあそびばミーティング

2012年6月10日、7月8日、22日

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子どもあそびばミーティング

東京の児童館で子どもたちとアーティストの協働を多数演出している臼井隆志をファシリテーターに招き、来場者の子どもたちが、YCAM InterLabのメンバーとともに、「コロガル公園」の新たな機能を検討するミーティングを3回に渡って開催した。
ミーティングの参加者には、会期中に回収された「子どもアイディアスケッチ」に記されている「理想の公園」を参照しながら、新たな機能についてのアイディアを、KJ法のような方法や落語の大喜利のような方法など、ミーティングごとに異なる方法で検討してもらう。このプロセスに、YCAM InterLabが参加し、その経験やスキルを提供することで、半ば非現実的とも言える参加者のアイディアをブラッシュアップしていった。最終的に新機能として公園に実装されることになったアイディアは、各ミーティング開催後ただちにInterLabによる作業がおこなわれ、来場者の印象を一新させるともに、これまでにない「あそびば」の在り方を実現した。実装されたアイディアの総計は、3回のミーティングで10数個に上った。

gとG
あるミーティングの際に、投函された子どもアイディアスケッチを眺めていると、大きく「あ」とだけ描かれたものがあった。投函した人にとっては、ちょっとしたいたずらだったであろうこのスケッチを見た参加者のひとりが「ある場所から眺めたら大きな文字が浮かび上がるようにしたい」と提案したことによって、コロガル公園の床面に巨大な「g」と「G」の二文字が描かれた。
とりわけ「G」は、登りにくい斜面の上に立たないと、そのように読めないようになっていたため、その文字を読もうと、多くの来場者が斜面を登るようになった。

映像
コロガル公園には、高さ1.8メートルのジャンプ台が用意されており、来場者の人気スポットとなっている。あるミーティングの際に、参加者のひとりから「ジャンプ台から飛び降りる際の『ふわっ』とした感覚をより強くしたい」という提案があった。さまざまなアプローチを検討した結果、来場者が飛び降りる際の床面の衝撃をセンシングして、それに応じて床面から粒子が飛び散るという映像を投影した。
日時
2012年6月10日、7月8日、22日
会場
スタジオB
クレジット
ファシリテーター:臼井隆志

協賛:大塚製薬株式会社

クレジット

主催:

  • 公益財団法人山口市文化振興財団

後援:

  • 山口市
  • 山口市教育委員会

平成24年度文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ

機材協力:

  • カラーキネティクス・ジャパン株式会社

共同開発:

  • YCAM InterLab

企画制作:

  • 山口情報芸術センター[YCAM]
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