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YCAM Re-Marks

PARK CITY

松田正隆+笹岡啓子

言葉と写真が描く、PARK CITY=「広島」
遠く離れた客席から俯瞰する演劇

1990年代から日本の演劇界をリードし続けてきた劇作家/演出家のひとりで、劇団「マレビトの会」を主宰する松田正隆と、独自の視点で都市の風景を切り取った写真作品が高い評価を受ける写真家の笹岡啓子。本公演では、公園を中心に復興した都市「広島」をテーマに、この2人のコラボレーションによる演劇作品を発表した。
広島の記憶を巡る「時間」と「距離」という2つのキーワードをもとに、舞台と客席の双方にYCAMの特徴であるメディアテクノロジーを駆使した特殊な演出を施し、斬新な鑑賞スタイルを導入した。これにより舞台作品におけるメディア表現の可能性が広がるとともに、テキストと写真、音声と映像が、時間と空間を往来する、新たな演劇が立ち上がった。
日時
2009年8月28日〜8月30日
会場
スタジオA
特設サイト
http://parkcity.ycam.jp/
ポスター、フライヤーなど

作品

PARK CITY (YCAM委嘱作品/世界初公開)

マレビトの会

広島に横たわる不可視の記憶と声を描き出す

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PARK CITY (YCAM委嘱作品/世界初公開)

マレビトの会

広島に横たわる不可視の記憶と声を描き出す

広島に生まれ育った笹岡が撮影した広島平和記念公園の写真シリーズをひとつの出発点に、戦後、公園というモニュメントを中心に開発された「広島」をめぐり、都市の潜在的な記憶を描き出す演劇作品。クリエーションにおいて、松田と笹岡は広島を訪れ、テキストと写真を通したコンセプトの交換作業を繰り返しながら、幾度となく描かれ、写されてきた都市に隠された「声」をすくい上げた。そうして完成した構想と脚本は、舞台芸術にある現在(ライブ)性と、写真という記録/複製メディアの機能を際立たせ、現在と過去が複雑に絡み合った多層的な時間軸を築き上げている。
また、この作品では非日常に観客を近づけようとする一般的な舞台作品とは異なり、舞台との隔たりや距離を意識的に観客に体感させるために、客席として使用するのは3階席のみとし、眼下に広がる舞台空間を俯瞰するという独特の鑑賞スタイルを導入している。さらに、それぞれの客席には小型のモニターを設置し、舞台に向けられたカメラからのライブ映像、そして予め撮影された映像を配信するといった試みもおこなっている。
このように舞台と客席の物理的な距離、メディア技術がもたらす間接的な距離、さらに舞台芸術と写真がもつ現在と過去との距離までもを操作することで、演劇を見るという体験を問い直している。
巡回情報
  • 2009年10月24日、25日 会場: びわ湖ホール(滋賀)

クレジット
作・演出:松田正隆
写真:笹岡啓子(photographers’ gallery)
出演:牛尾千聖、F.ジャパン、桐澤千晶、ごまのはえ、島 崇、武田 暁、西山真来、枡谷雄一郎、宮本統史、山口春美
音響:荒木優光
衣裳:堂本教子
ドラマトゥルク:田辺 剛
演出助手:米谷有理子
企画協力:八角聡仁

イベント

レクチャー「劇作・演出家のはなしを聞こう!声はどこからくるの?」

2009年6月6日

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レクチャー「劇作・演出家のはなしを聞こう!声はどこからくるの?」

YCAMでの滞在制作に先立ち、松田正隆によるレクチャーを開催した。レクチャーでは、「役者の声や言葉は誰のものか」「その声は舞台でどう表現されるのか」など、マレビトの会ならではの演劇への発想を読み解くとともに、YCAMで発表する新作の背景とその魅力について語った。
日時
2009年6月6日
会場
スタジオA
クレジット
講師:松田正隆

笹岡啓子写真展

2009年8月1日〜31日

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笹岡啓子写真展

本作と同名の写真シリーズ、笹岡啓子『PARK CITY』からのセレクトしたオリジナルプリントを舞台上での演出とは異なる雰囲気で展示した。
日時
2009年8月1日〜31日
会場
2階ギャラリー

関連上映

2009年8月7日〜9日

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関連上映

  • 映画『H story』(2001年/監督:諏訪敦彦/111分/日本)
  • 映画『ヒロシマモナムール』(1959年/監督:アラン・レネ/91分/フランス・日本)
  • 映画『美しい夏キリシマ』(2002年/監督:黒木和雄/118分/日本)
  • 『самосел―長崎そしてチェルノブイリ―』(2006年/45分/日本/制作著作:テレビ西日本)
日時
2009年8月7日〜9日
会場
スタジオC

バックステージツアー

2009年8月16日、23日

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バックステージツアー

オリジナル作品を制作している現場とその舞台裏を紹介するバックステージツアーをおこない、YCAMのスタッフとアーティストの案内のもと、劇場の機構や、作品に使用するシステム、アーティストやスタッフの仕事の様子を見学した。
日時
2009年8月16日、23日
会場
スタジオA
クレジット
ナビゲーター:松田正隆
ファシリテーター:YCAM教育普及

プロフィール

YCAM InterLab開発内容

客席用モニターの設置と配信システムの構築

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客席用モニターの設置と配信システムの構築

舞台上にある複数のビデオカメラからの中継や、あらかじめ舞台や広島などで収録した映像素材を、全客席に設置したスピーカ内蔵の小型モニターに出力するため、独自の配信システムを構築。異なる映像と音声を、安定して同時配信するために、UHFを利用したテレビ放送と同様の通信方式を採用した。また、本作の巡回公演を視野に入れ、設営の効率化についても検証した。とくに、モニタースタンドの設計にあたっては、様々な劇場の客席に設置できるよう、座席の形状を考慮し、制作をおこなった。

映像と音声を制御するソフトウェアの開発

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映像と音声を制御するソフトウェアの開発

作品のシーン展開に合わせて、映像と音声を正確に切り替えるため、ビデオマトリックススイッチャーとオーディオミキサーを同期制御するソフトウェアを開発した。ビデオマトリックススイッチャーには、舞台上に設置した7台のビデオカメラからの映像と、事前に収録した映像の計12チャンネル分を入力。オーディオミキサーには、映像素材に付随する音声のほか、舞台上に設置した1本のガンマイクと、10人の役者に取り付けたピンマイクの音声など、約20チャンネル分を入力。ソフトウェアによって、多数のソースの中から、出力する映像と音声をシーン毎に指定し、フェードイン/フェードアウトなどの複数のパラメータを付随してプリセットとして保存/切り替えることが容易にできる。そのため、制作段階における演出の変更にも随時対応することが可能となった。

クレジット

主催:

  • 財団法人山口市文化振興財団
  • 財団法人びわ湖ホール
  • マレビトの会
  • photographers' gallery

後援:

  • 山口市
  • 山口市教育委員会

文化庁平成21年度舞台芸術振興の先導モデル推進事業(舞台芸術共同制作公演)

助成:

  • 財団法人地域創造
  • 財団法人アサヒビール芸術文化財団
  • 財団法人セゾン文化財団(「マレビトの会」の年間活動助成)

機材協賛:

  • AVOX

京都芸術センター制作支援事業

技術協力:

  • YCAM InterLab

企画制作:

  • 山口情報芸術センター[YCAM]
  • びわ湖ホール、
  • マレビトの会
  • photographers' gallery
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