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YCAM Re-Marks

メディア・ソケッツ―多層なる創造圏

撮影:伊奈英次

新しいテクノロジーがもたらす新しいリアリティ
ソケットとしての表現が人とテクノロジーをつなぐ

写真、映像、コンピューターなどの現在の文化に大きな影響を及ぼしているメディアを用いた表現を包括的に紹介するグループ展。開館記念事業の一環として開催された本展では、国内外から6組のアーティストを招聘し、個々のメディアテクノロジーの持つ技術的特性の探求と、それらの創造的な組み合わせによって生まれたインスタレーションを発表した。
複製メディアの進化と普及がますます加速する今日。人間の知覚や思考モデルは常に更新を迫られ、リアリティ、ひいては芸術表現も変容しつつある。そうした変容に対して、それぞれ異なる視座から批評的思考を促す本展の展示作品を通じて、様々なかたちで立ち現れつつある新しいリアリティに対する、新しいアプローチを提示した。
日時
2003年11月1日~12月28日
会場
スタジオB、ホワイエ、2階ギャラリー

作品

Ladder

岩崎マミ

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Ladder

岩崎マミ

イギリス、オランダ、シンガポール、ドイツ、そして山口を含めた日本の各都市を、多様な距離感から切り取った写真作品。
展示空間内で、複数のイメージが組み合わされ、相互に干渉し合うことで、空間全体が無国籍的な共通点を持つ1つの場所であるかのような感覚を呼び起こし、写真と現実、写真と写真の多層的な関係性への再考を促す。

OZU Style (YCAM委嘱作品)

堀家敬嗣

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OZU Style (YCAM委嘱作品)

堀家敬嗣

映画界の巨匠、小津安二郎へオマージュされた研究論文としての映像。
戦後、小津が制作した全15作品を巨大な1作品のように見なし、それらをアルゴリズミックに再構成することで、これまで見過ごされていた、ワンショットの魅力や全体に通底する巨視的なリズムを浮き彫りにするとともに、思考ツールとして映画の可能性を切り開いた小津の視線への想像を喚起する。

第9回「る会~生きション~」作品1 (YCAM委嘱作品)

るさんちまん

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第9回「る会~生きション~」作品1 (YCAM委嘱作品)

るさんちまん

作品が設置された空間の物理的特性を表現に活かした映像インスタレーション。
空間を映像表現のためのベースと見立て、プロジェクションマッピング的に映像を投影することで、空間の中に様々なフォーカスが生まれ、同一の映像の中に非均一の空間と映像の偏差が形成される。この歪みをノイズとして取り除くのではなく、創造の端緒と捉え直すことで、非現実的な遠近感がもたらされる空間を構成している。

第9回「る会~生きション~」作品2

るさんちまん

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第9回「る会~生きション~」作品2

るさんちまん

会場内に設置されたスクリーンには、天体観測用のレンズとCCDカメラで構成されるオリジナルの撮影装置によって記録された穏やかな草原が延々と映し出される。しかし、そこに一瞬、正体不明のオブジェクトが垣間見える。カメラという〈目〉が、オートマティックに動き回る対象を捉えようとすることによって、監視のためのテクノロジーという側面から捉える、映像メディアの歴史が大きく変わろうとしていることを示唆している。

VHSM: Video/Hack/and/Slash/Mixer (YCAM委嘱作品)

エキソニモ

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VHSM: Video/Hack/and/Slash/Mixer (YCAM委嘱作品)

エキソニモ

アナログ的な手法による激しいフリッカー(チラつき)が導入された映像の中に、体験者を没入させていくインスタレーション。
会場内には檻状のケースに入れられたプロジェクターが3台設置されており、それらのレンズの前には扇風機の羽根のような素材が取り付けられている。この羽根が3台で同期して回転したり、あるいはランダムに回転することで、プロジェクター前方のスクリーンにフリッカーした映像が多重に映し出されていく。鑑賞者はこの映像効果によって、映し出された対象の持つ意味を徐々に引き剥がされたり、統合されたりする中で、知覚的快楽の渦中に囚われる。
この映像には、会場周辺を行き交う人々を捉えた風景や、生物の映像、過去の山口市の様子を収めた記録映像など、多彩な素材が利用されており、これらもプロジェクターの羽根と同様にコンピューターで制御されている。
フリッカーという過激な表現を用いながらも、独特の柔らかさを感じさせる本作には、ヒップホップやスケートボードなどのストリートカルチャーを彷彿とさせるザッピング感覚、および身体からアーキテクチャーへのボトムアップ的アプローチが見え隠れしている。
クレジット
制作協力:クワクボリョウタ

personalscape (YCAM委嘱作品)

中居伊織+scapegirls

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personalscape (YCAM委嘱作品)

中居伊織+scapegirls

複数人の聴覚体験をザッピングしながら追体験できるデバイス型のサウンドアート。山口市民によるプロジェクトチーム「scapegirls」と中居が、7か月間に渡るワークショップをおこない完成させた。
9人の人間が同日同時刻に山口市内のそれぞれ違う場所で録音した音源を、並列した9つのタイムライン上に配置。鑑賞者はペンを使って、ディスプレイに表示されたタイムラインをなぞり、それらの音源をザッピングしていく。鑑賞者はポリフォニックに聞こえる街の音を通じて、風景や、その音を録音した個人の振る舞いへの想像を膨らませることになる。

Bubbles (改訂新作)

ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖

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Bubbles (改訂新作)

ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖

映像の中のシャボン玉と全身を使って戯れるインタラクティブなインスタレーション。
会場内に設置された巨大なスクリーンには、リアルにたゆたうシャボン玉の映像が投影されている。鑑賞者がそこに近づき、影がスクリーンの中のシャボン玉にあたると、それに影響されて、スクリーンの中のシャボン玉がたなびいたり、影に跳ね返ったり、はじけ飛んだりする。
クレジット
テクニカル・アシスタント:今井慎太郎

OBAKE

ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖

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OBAKE

ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖

鑑賞者の影に反応するファンシーなキャラクターとの対話を楽しむインタラクティブなインスタレーション。
会場内に設置されたスクリーンに鑑賞者が手をかざすと、自身の影の上にお化けを模した多種多様なキャラクターが現れる。個別に性格のようなものが与えられているキャラクターたちは、鑑賞者の動きに応じてリアクションを取るほか、一連のやり取りを繰り返していくうちに学習・成長していく。
クレジット
テクニカル・アシスタント:今井慎太郎

プロフィール

クレジット

主催:

  • 財団法人山口市文化振興財団

後援:

  • 山口市
  • 山口市教育委員会
  • 山口県
  • 山口県教育委員会
  • 財団法人山口県文化振興財団

協賛:

  • 株式会社ワコム
  • キヤノン株式会社

共同開発:

  • YCAM InterLab

企画制作:

  • 山口情報芸術センター[YCAM]
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