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アモーダル・サスペンション―飛びかう光のメッセージ

ラファエル・ロサノ=ヘメル

写真:高橋和海

情報化社会における新たな共有体験―
あらゆる障壁を超えた交流と創造の場を目指して

1990年代以降、メディアテクノロジーを利用して公共空間での人間の新しい関係可能性を追求する数々の実験的なプロジェクトを展開してきたラファエル・ロサノ=ヘメル。YCAMの開館記念事業の一環として開催された本展では、地域性/社会/文化/言語の違いを超越した共有体験の実現をテーマに、YCAM周辺の公共空間を使用した大規模なインスタレーションを発表した。
インターネットを通じて山口へと送られてくる世界中の人々のメッセージを、巨大なサーチライトの明滅へと可視化し、コミュニケーションを楽しむ本作を通じて、高速/高解像度とは異なる次元のコミュニケーションの形を提示するとともに、地域と世界を結び、人とメディアテクノロジーとの対話の中から情報芸術の創造と発信を目指すというYCAMの活動理念を体現した。
日時
2003年11月1日〜24日
会場
中央公園
特設サイト
http://www.amodal.net/

作品

アモーダル・サスペンションー飛びかう光のメッセージ (YCAM委嘱作品/世界初公開)

ラファエル・ロサノ=ヘメル

山口の上空に漂う光の網の目

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アモーダル・サスペンションー飛びかう光のメッセージ (YCAM委嘱作品/世界初公開)

ラファエル・ロサノ=ヘメル

山口の上空に漂う光の網の目

世界中の人々からインターネットを介して送られたショートメッセージを巨大な光の柱に変換し、それらの明滅や動きによってコミュニケーションを図るプラットフォーム型のインスタレーション。
YCAMの正面に位置する中央公園の周囲には、強力なサーチライトが合計20台設置されており、携帯電話やウェブサイト、世界28ヶ所のアートセンターに設置された専用端末から送信されたメッセージに応じて、移動しながら明滅していく。この光は、特設ウェブサイトを訪れた誰かがメッセージを受信し、閲覧するまで上空を浮遊し続ける。メッセージは同時に10個まで処理することが可能で、多数の人々がこの作品にアクセスすることで、YCAMの上空に、複数の光線が複雑に絡み合った巨大な構造体が出現する。そして、この〈光の網の目〉とも言うべき構造体は、実体を持たない非物質的な屋根として、山口の山並みと、光や音が振動しながら伝達していく様をモチーフにしたYCAMの外観を拡張する。

サーチライト
この作品では、14万ワットのサーチライトが使用されており、そのひとつひとつがコンピューターによって点灯と方向を制御することができる。このサーチライトがつくり出す巨大な〈光の網の目〉は、YCAMから15キロメートル離れた地点からも見ることができる。

サーチライトの点滅
送信されたメッセージは、日本語なら毎秒2文字、アルファベットなら毎秒4文字という、電子的なコミュニケーションとしては非常に緩やかな速度でコード化され、それに基づいてサーチライトが点滅していく。このとき、別のサーチライトからも同時に光が放たれ、交差するようになっており、メッセージが古くなればなるほど、交差するポイントの高度が上昇する。

メッセージ
参加者はこの作品を通じて、特定の人物はもちろん、不特定多数の人々に対してもメッセージを送ることができる。特定の人物に対してメッセージを送った場合、作品のサーバーから対象者に向けて「あなた宛のメッセージが山口の上空を浮遊している」といった旨のメールが送信され、ウェブサイト上で参加者からのメッセージを閲覧することを促される。
またこの作品では、メッセージを日英間で自動翻訳しているため、メッセージの本来の意図から少し離れ、常に拙くもどこか魅力的なものとして伝達される。そこには急速な勢いで進展するグローバル化へのささやかな皮肉がこめられている。

ウェブサイト
ウェブサイトには、メッセージを送信したり、閲覧したりするためのインターフェースが用意されているほか、YCAMの上空を飛び交う光の状態をシミュレーションした3DCG映像が表示されている。このほかYCAMを眺めることができる市内の8ヶ所に設置したビデオカメラからの映像が中継されている。

アクセスポッド
世界15ヶ国28ヶ所のアートセンター、メディアセンター、博物館に、この作品にアクセスするための専用端末として「アクセスポッド」を設置。この作品を通じて、アート、サイエンス、メディアテクノロジーを専門とするセンター間の新たな連携を生み出した。

  • MACBA, Museu d'Art Contemporani de Barcelona(バルセロナ)
  • MARS Lab Fraunhofer Institut für Medienkommunikation(ボン)
  • C3 Center for Culture and Communication(ブタペスト)
  • Fundación Telefónica(ブエノスアイレス)
  • MIT MediaLab(ケンブリッジ)
  • KHM, Kunsthochschule für Medien, Köln(ケルン)
  • Bauhaus(デッサウ)
  • 岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー[IAMAS](岐阜)
  • ZKM, Zentrum für Kunst und Medientechnologie(カールスルーエ)
  • 京都芸術センター(京都)
  • FACT Film, Art and Creative Technology(リヴァプール)
  • Science Museum(ロンドン)
  • Ojo Atómico(マドリッド)
  • Laboratorio Arte Alameda(メキシコシティ)
  • SAT, Société des Arts Technologiques(モントリオール)
  • Sarai(ニューデリー)
  • Eyebeam(ニューヨーク)
  • Wood Street Galleries(ピッツバーグ)
  • V2_Organisatie(ロッテルダム)
  • Itaú cultural(サンパウロ)
  • せんだいメディアテーク(仙台)
  • Art Center Nabi(ソウル)
  • NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東京)
  • 日本科学未来館(東京)
  • Ontario Science Centre(トロント)
  • Emily Carr Institute of Art and Design(ヴァンクーヴァー)
  • WROCenter(ワルシャワ)
  • Multimedia Institute(ザブレブ)
クレジット
プログラミング/開発:コンロイ・バジャー、石橋素、ジェニファー・ロックリン、エミリオ・ロペス=ガリアーチョ、チョン・ツァン
プロダクション・サポート:ヴィル・バウアー、ジャック・カルミス、オラフ・ペトヒャー、金築浩史

イベント

アーティストトーク+シンポジウム 「プロジェクトをめぐって―情報化時代とマルチカルチャリズムの行方」

2003年11月2日

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アーティストトーク+シンポジウム 「プロジェクトをめぐって―情報化時代とマルチカルチャリズムの行方」

展覧会のオープンを記念して、本展アーティストのラファエル・ロサノ=ヘメルが作品の背景や制作プロセスについて解説するトークイベントと、ロサノ=ヘメルに哲学者のブライアン・マスミ、社会学者の毛利嘉孝を交え、今日におけるマルチカルチュアリズム(多文化主義)のあり方について議論するシンポジウムを開催した。
日時
2003年11月2日
会場
ホワイエ
クレジット
ゲスト:ラファエル・ロサノ=ヘメル、ブライアン・マスミ、毛利嘉孝
モデレーター:四方幸子、阿部一直(YCAM)

プロフィール

クレジット

主催:

  • 財団法人山口市文化振興財団

後援:

  • カナダ大使館
  • 山口県
  • 山口県教育委員会
  • 山口市
  • 山口市教育委員会

助成:

  • カナダ外務・国際貿易省

協賛:

  • 松下電器産業株式会社
  • 株式会社ファーストリテイリング

協力:

  • NPOコミュニティデザイン協議会

共同開発:

  • YCAM InterLab

企画制作:

  • 山口情報芸術センター[YCAM]
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